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 「あの産地は良い。」「どこの誰それが作る花は最高だ。」「あの市場の彼は切れ者だ。」「今の流通方式は良くない。」「あいつは馬鹿だ。」だの何だのと話は尽きない。

 

 同じ業界でも私は生産、一人は市場、一人は仲卸、一人はネットオークションと各々立場が異なるから一つの物事に色々な角度で意見を交わす、歯に衣着せぬ言い回しだが、むしろ心地よい。

 

 彼らと話していると普段悩んでいる瑣末な事を忘れ、「これからも頑張ろう」という気持ちがふつふつと湧いてくる。

 

 私が努力していいバラを作ることが、彼らの利益になるように。私が学んだ技術が彼らの仕事の糧となるように邁進したい。

 

 昔、父が小学生の時、教科書を忘れた同級生に自らの教科書を貸し、自分は忘れたと言って教師に怒られたことがあるらしい。(もしかしたら少し足りなかったのかも知れないが・・・)

 

 父は今でも多くの友人・恩人に恵まれている。

 

私も多くの友人や知人、尊敬できる若手生産者、何でも教えてくれる父世代のバラ生産者、ご鞭撻して頂ける市場、お花屋さんに恵まれている。

 

 こんな殊勝なことばかり言っていたら、明日は死ぬかもしれないので、やはりいつもの横柄で我儘な自分でいようと思う。生き抜いてナンボの世の中だ!!

 

 最後になりましたが、求人募集です。若手花屋さんいませんか?花屋さんの意見が不足しています。

禁煙・肉好き25〜35歳の方、ご連絡下さい。


2007年10月13日(土)「 いやぁ、フラッと行ったけど、エラく人が多くて、エキストラなんじゃないの?って思ったよ。 」  

IFEX‘07に行ってきました。会場は人の海。そして活気溢れる各社ブース。

 

イベントでは「2〜3日に分けてご来場下さい。」とアナウンス流れていたが、私は足早に2〜3時間で会場を縦横無尽に見尽くした。話を聞いたり、名刺交換したり。

 

IFEXはもう3回ほど来ている。今年は農協や経済連のブースも目を見張るものがあった。沖縄、大分、愛知など輸入商社も尻込みをする活気で人が集まり、産地のPR活動をしていた。

 

既に生産者は畑だけにいてはいけない時代になってしまった。

 

畑にいるべき時間を割き、出荷先に顔を出し、マーケティングの真似事をし、商社も顔負けの営業を行う。

 

私も極力都内でのイベント事、お花屋さんとの交流の場、市場との会議があれば顔を出そうと仕事も疎かに東京へ足を運ぶ。

 

しかし、帰路の車の中でいつも思う。「これは私がすべき仕事なのだろうか?」と。

 

私にはどうしても生産者が自らマーケティングをし、消費者にアピールするのは百姓としての仕事を逸脱しているような気がしてならない。

 

だが純粋に「作る」という行為だけでは生産者は最早成り立たなくなってきているのだろう。

 

帰り道、新宿駅を出て歩いていると、ある意味「東京名物ティッシュくばり」がいて普段は受け取らないが、ティッシュではないことに気がつき思わず受け取ってみた。

 

掌には白黒の牛柄のハンカチと

「きいてください!いま、日本の牧場がピンチなんです!!  日本の酪農家一同」

と、書かれていた。

 

 目頭が熱くなった。

 

 日本には農家はいらないのだろうか?毎日、朝早くから夜遅くまで休みも無く仕事をし、生産物や家畜を愛している人たちが何の心配も無く「作る」という行為に純粋に打ち込める日々はもう来ないのだろうか?

 

 ちょいと感傷的になりながら今夜はビールを止めて、牛乳を飲むことにする。なんか牛乳がしょっぱいや・・・。

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