俊敏さを貴重とする私にとっては何やら苦しいし、首が制動されている気がする。
冬場といえど温室の中はお日様があたればぽかぽかと暖かい。ましてや温室の中で疾風怒涛の剪定・定植作業をしていればマフラーどころかTシャツでもいいくらいだ。
我が家も水耕栽培の温室は「ジプシーキュリオーサ」の更新を終え、「スペンド ア ライフタイム」「オレンジジュース!」も定植は完了した。最近では芽がぷっくりと膨らんできた。
土耕栽培の温室も廃棄・剪定・施肥を終え、これからいよいよ「ワンダーウォール」「バイア モーメント」の定植と今年の改植作業も最終局面を迎えた。
新入りの娘たちばかりを可愛がってはいけないが、どうも定植したての娘たちは気になる。
「落ちては無いかな(枯れてしまってはないか)?」「根は張ってきたかな?」などと気になって用も無いのに温室に入ってみる。
早く大きくなって確りした花を咲かせてもらいたいものだ。
そう思うと我々生産者は然も花をゼロから創っている様な事を言っているが、所詮は花が自ら根を伸ばし、芽を吹かせ、葉を繁らせ、蕾を膨らめて花を咲かすのを手伝っているに過ぎない。
形容するなら花がアスリートで我々生産者は監督・コーチのようなものだ。
「どこまで行っても生産者という者は裏方なんだなぁ」と自覚させられる。
仕事では常時裏方なのだからと、私生活で呑みに行けば、ここぞとばかりに大騒ぎして主役並みにしゃべり倒す。
そのおかげで財布には北風が吹き、マフラーもしていないのに首も回らない。
春が待ち遠しい。
2007年12月10日(月)「 Speed Star 」
日本人というのは始まりより終わりを大事にする傾向にあるのではないかと思う。
誕生日より命日、乾杯より一本締め、新年会より忘年会。
師走も既に中盤に差し掛かり、祖母は漬物をせっせと漬け、祖父は首を長くして干し柿に粉が噴くのを待つ、父と私は怒涛の剪定・定植作業が始まった。
我が家の改植は先ず水を切ることから始まる。次いで青々と茂ったバラの木々を一株ずつ剪定鋏で根元から切り落とす。
水耕栽培のロックウールの場合は稲刈り鎌で根を切り取り温室から運び出す。土耕栽培は大地から引き抜いて温室から運び出す。
その後、双方温室を綺麗に掃除して水耕であれば培地を敷きなおし、土耕であれば畝を作って共に定植する。
土耕であれば定植後、施肥をして藁を敷く。
この仕事は多少機械を導入することは出来るだろうが、我が家では完全に人力に頼っている。
「大変じゃん!」と侮ることなかれ。卓越した職人の技術というのは機械などには到底及ばない俊敏さと繊細さを兼ね備えている。
私においては父に技術的には及ばないが、元来負けず嫌いの私も総髪振り乱して父に迫る。
がしかし、12月となれば忘年会や忘年会や忘年会と松・千両市に負けず大忙しである。
ましてや友人からゴルフやスノーボードのお誘いが来ればまたまた作業が遅れてしまう。
何故、人は歳末の忙しい時に更に自身に鞭打って予定を入れるのだろうか?
Mなのか?
そうしてまた私はウコンを貪り飲み会へ、父は二コレットを噛みタバコを吸う。
健康な新年が迎えられますように・・・