ということは、蕾だろうが満開だろうが切りバラの生存期間は一緒ということになる。
バラは咲きながら花びらを成長させる。採花が遅ければ遅いほど花は大きくなる。
しかしながら、緩切りのバラは3つの大きなリスクを背負うこととなる。
一つは、病虫害だ。温室の中にいる期間が長ければ当然、病気や虫の被害にあう確率は高くなる。
また一つは、輸送中の事故。咲いているという事は花びらが広がっているのだから箱等で擦れて花傷みの原因となる。
そして最後は「咲いているバラは持たない」というイメージだ。
「じゃあ、固切りだね。」となるだろうが、そのリスクを吹き飛ばすほど樹咲きのバラは綺麗だ。
以前、某ケイフローリストの栗原さんは我が家で切れた樹咲きで満開のノブレスを持って嬉しそうに市場内を徘徊していた。
オヤジをもときめかせるバラ。
堀木園芸永遠の目標だ。
2007年11月3日(土)「 臥薪嘗胆 」
品種選定をするということは大変困難である。
以前にも記したように農家側の「勘」や「センス」というものを私は全く信じていない。というよりも自信がない。
概ねは、お得意先のお花屋さんか、中卸しの方に「このバラ欲しいんだけどなかなか手に入りづらいんだよねぇ」というのを聞いてくる。
その後は市場の担当者に相談して要・不要を判断してもらう。
もちろん消費・流通側の意見だけではない、種苗会社に生育上の性格や癖を教えてもらう。そんな中で「いけそうかな?」と思う品種は、我が家では暫く観察する。
その手段の一つ「高芽接ぎ」である。
現在、植えられているバラの途中に違うバラの芽を移植するわけだ。そうすると1ヶ月程度で活着する。その後、そこから移植したバラがニョキニョキ生長する。
我が家では高芽接ぎベッドがあり、今は20品種弱のバラたちが一枝ずつ植えられている。
もちろん落選品種も多い、試作中に国内生産が増えてしまったもの、営利栽培上の問題(数が切れない、丈が伸びない等)があるものなどだ。
長いものでは既に5年くらい試作ベッドにいるものもいる。早く卒業してもらいたい・・・。
我が家のブライダルピンクは土耕で栽培している為もあるが、もう既に定植してから11年間も切れている。ロングランだ!
売れない品種であれば2、3年で止めなければならない。
自らが選んだ品種が経営を圧迫し、その結果として引き抜いて捨てなければならない。バラにはとても申し訳ないと思う。
流行り廃りの激しい世の中にあって、安定を望むのは難しい事ではあるだろうが、せめて改植の時に「ごめんな。」ではなく「長い間、ありがとな。」と言って抜いてあげたいと思う。