特に土耕は大変手間がかかる。
先日も身長父173cm、私180cmが這いつくばって温室中に藁を敷いた。
温室に藁を敷くと土壌の保湿・保温効果があり雑草の生育も妨げる。
また我が家はVS菌(有益根圏微生物の総称。土壌中の有害な雑菌などを駆逐し、根毛を守り、消毒回数・濃度を減らし、土壌病の発生も少くなり、人にも環境にも優しい。)を使用しているので菌の繁殖にも有効である。
しかし株間一つ一つに手で藁を敷いていくのは思いの外、重労働ではある。
それでも幼い子供の首元に布団を掛ける様な気持ちで敷いていく。
それにしても流石に8,000株以上になれば子沢山にも程があり過ぎる。
「アルプスの少女ハイジ」でハイジがお爺さんのうちにやって来て干草の上にシーツを敷いてもらいベッドにするというシーンがある。
私も睡眠不足で二日酔いの時など、何度温室の通路の藁の上で横になろうかと思ったか・・・。
いつか欲求に抗えず朝の花切りの途中でペーターと雪ちゃんの夢を見ながら爆睡してしまう日もくるのだろうか?
そう思うと藁を敷く手もより綿密に働くというものである。
2008年1月19日(土)「 青林に 慕え冬青の 愛しさよ 」
今日友人が結婚式を挙げる。
元々学年が一つ違う為、以前はそれ程親しくはなかったが、同じ地元に住む自営業同士、地域の活動で顔を合わせ、酒を酌み交わすうちに馬が合いしばしば連るんでいる。
一ヶ月ほど前に会場装花とブーケを依頼された。
友人のブーケぐらいは手掛けたことがあるが、会場全体となると初めてなので少し緊張したが、賤しくも一年間「ル・ベスベ(青山のお花屋さん)」で修行したのだ。自信を持ってお受けした。
久々の大仕事とあって入念に準備をし、製作中も楽しんで活けることが出来た。
製作に当たってメインの花となるバラは冬場といえど十分にある。しかし、小花や葉物がないので小花は固めのバラの蕾を利用した。
葉物は夏場であれば山国信州は至る所に木々が茂っているが、1月となれば周りは一面モノクロームの世界。流石に地物では無理かと諦めかけた。
しかし、ものは試しと雑木林を犬と散策してみた。
案の定、林の中は針葉樹ばかりでなかなかブライダル相手に結構なものは見当たらなかった。
それでもブラブラしていると赤い実を付け青々としている葉っぱが見えた。
寒風の中を然も心地よさげに戦いでいる木があった。
名前もわからず鋏を入れ必要な分だけ持ち帰った。
花好きの祖母に聞くと「そよご」という名前らしい。
聞きなれない名前に何度も聞きなおし忘れ、また聞きなおしたら祖母が
「そよそよしているからソヨゴと覚えな」と言った。
八十代のギャグセンスはこんなものかと失笑し、製作に打ち込んだ。
それでも意外に使えた「そよご」が気に入って、自室に帰って調べてみると本当に「風に揺れ、戦ぐところから(そよご)の名が付いた」と図鑑に書かれていた。
しかも「冬青」とかいて「そよご」と読む。
木々が青々と茂っている夏場には見向きもしない木が、冬場の厳しい寒さの中でも艶やかな葉を揺らし戦いでいるのだ。