相対する、またはジャンルの異なる趣を持ち合わせることによって、単純な一つの味わいのものより、向上していると言えよう。
世の中には往々にして存在する。
犬でいえば、「パグ」や「ブルドッグ」などはまさに「めぐさめんこ」そうであろう。
我が家の夏場の隠しアイテムでもある「洋梨」もそうである。
洋梨と言えば「ラ フランス」が有名であるが、我が家の洋梨は「バート」という品種である。
「バート」は、実が小粒のうちから変形が始まり、早稲である為に、7月のこの時期から装飾用であれば、収穫できる。
日本において「梨」と呼ばれるものとは、形状において著しく不恰好である。
その形状もまちまちで、同じ変形を持っているものは、なかなかない。
そうであっても、憎めない不細工さ加減とライムグリーンの艶やかな実が、夏の蒸し暑さの中に一時の清涼感を与えてくれる。
たまに収穫してバラと共に出荷しているので、お気に入って頂ければ幸いだ。
私自身も異なる2つの味わいを持つ事によって、より深みのある人間になりたいと思ったが、注意しなくてはならない点は、「キモかわいい」は「気持ち悪いけど、かわいい」ということで、可愛いに部類される。
間違っても「カワきもい」にならない様にしなくては。
2008年7月21日(月)「 緑陰に 記憶を手繰る かの薫り 」
よく友人、知人に「何曜日が休みなの?」と聞かれる。
バラ屋に定休日などない。
その最たる理由が、朝夕の花切りがあるからだ。
我が家では、ほぼ365日の毎朝夕に花切りをしている。
もちろん冬場や、閑期になっている品種の温室に花切りに入っても、数本しか切れない時もある。
そうであっても、花切りにはそれ以外にも大事な仕事がある。
観察である。
ただ単に花だけを切るのではなく、樹の状態を見て、病害虫の被害にあっていないか、葉焼け、花焼け、栄養不足に陥っていないか、水は切れていないかを観察する。
もちろん花切りを行いながらではあるので、多少の見落としはあるが、バラの状態を見続ける事に意味がある。
我が家の様な小規模農家であっても、バラの株は裕に1万株を超えている。
その一株一株に毎日接する機会こそが、花切りなのである。
大変ではあるが、楽しみもある。
新品種が切れる初切りの時、超高品質のものが切れた時、高値の時期に大量に切れた時である。
その中でも最も幸せな瞬間は、切りたてのバラが己の腕の中で香り出す瞬間である。
現在、市場流通しているバラは香りの少ないものが多い。と思われがちであるが、実際のところ温室にいるバラで香りの無いものなどない。
おそらくは、長距離輸送、冷蔵保存の影響で香りが弱まってしまうのではないだろうか。
採花直後のバラはどの娘も香る。
香りの弱いものであっても、左腕の中に数十本と抱き寄せるうちに、香りも濃厚になる。
香りの強い「イントゥリーグ」「パパメイアン」などは、強く魅惑的な香りに目眩がしそうである。
毎日そんな香りに包まれていれば、おのずと私もいい香りになる筈なのだが、夕方には若干の加齢臭が・・・・。