前ページ

 

赤面症の私には気持ちをバラに託すのが精一杯である。

2008年6月6日(金)「 Patience  」 

 朝の花切りが終わると、皆で朝食を取る。

 

 私は、その日の気分に合ったテレビ番組を見る。

 

 世の中には深刻なニュースが多い。朝から戦々恐々とさせられてしまう。

 

 

 先日、東京以外の唯一の出荷先である名古屋・花兼市場と中卸の丸正花きの方が見学に来られた。

 

 また長野県内では、知らない人はいないであろう大手書店の平安堂の方も我が家のバラを見に来られた。

 

 両者とも天狗になってしまうぐらい褒めて頂き、家族一同気分が良く仕事が出来る。

 

 我が家のオリジナルバラ「ワンダーウォール」と「バイア モーメント」がいよいよ本格出荷を今夏に迎える。

 

 永かった。

 

 「作るよ」「出るよ」と言いながら、もう何年経過しただろうか?

 

 当初からお目に掛けている方々には、もう飽きられてしまってはいないだろうかと、心配にすらなる。

 

 それでも彼女達もたった一本の株から選抜され、挿し木をされ、芽接ぎをされ、着実に成長し、株を増やし、ようやく今500株から1000株近く定植されている。

 

 私などは、ただ待っていただけだが、彼女達は毎日毎日、少しずつ出荷に至るまでの日々を送ってきた。

 

 私も「早く、早く!」と捲くし立てながらも、彼女達の成長を楽しみにしてきた。

 

 厳しく辛い事があって、一人では耐えられなくても、誰かに支えられていられれば、また持ち直し、立ち上がれる。

 

 農家と生産物はその関係に似ているような気がする。

 

 我が家のバラたちにも、一日でも早く巣立って、誰かの支えになれるように、活躍してもらいたい。

 

 その為にもっと褒めてください。

 

 そうすれば、バラも私の鼻もよく伸びるというものだ。

 

次ページ