「ボトリチス」は通用「ボト」と呼ばれ、花屋さんが「花しみ」と呼ぶ8割がこの病気であろう。カビの一種で湿気を好み梅雨時、長雨で弱い品種は花にニキビ状の斑点や腐りが入り、出荷できなくなる。
「ハダニ」も相当厄介で何をしても完全に殺すことはできず、繁殖力も旺盛で最近では農薬に対する抵抗もできていて、バラ農家に限らず日本中の農家が苦しんでいる。
以前、減農薬、有機農薬の話を少ししたが、上記の2つにも漢方や毒薬以外の農薬もある。しかし、状態が悪ければ悪いほど、やはり科学農薬に頼ってしまう。
ぜん息の患者に玉子酒では焼け石に水のように。
原油の高騰による暖房費の増加、運賃の値上がり、段ボール箱の値上げ、止まらない病気、死なない害虫・・・暗い話は尽きない。
どっこいガングロオヤジ達は強い!黒い顔に無数のシワをよせて笑っている。腹の中では不安や畏怖を感じていても、日に焼かれた琥珀色の黒目をギラギラさせて明日への活路を見つけようとしている。
真夏の灼熱の温室の中で病気にも害虫にも負けず何十年も耐えてきたのは、バラ以上にこのオヤジ達なのだ。
サムライだ!百姓だが、この人たちこそ侍なのだ。
私のようなバラ屋2代目は全国に結構いる。
先代を超えるのは至極難しいことではあるけれど、彼らを超えなければ明日の日本に国産バラなど無くなってしまう。
頑張ろう!頑張れ私!
・・・と熱くなっているうちに会の進行は新品種検討会へ。
100種類以上の新品種、未流通品種が並べられ、1つ1つ種苗会社の方が説明する。説明する種苗会社のオヤジに、聞く農家のオヤジ、相談に乗る市場のオヤジ・・・・って
花の購入者層F1、F2、F3層が会場にいない。
これでいいのかッ!!?
そんな私もメタボ気味・・・以下後編へ。
2007年9月29日(土)「Lang een dag van het rozen kwijker 〜ばら屋の長い一日〜(前編)」
9月28日午前5時25分起床。5分で身支度を整え、花切に。今日は長い一日になりそうだ。
今日は午後3時から世田谷花き市場のバラ研究会(バラ生産者の集まり)の会合がある。
会の内容は農薬や温室設備に関する「技術交流会」、種苗会社を招いての「新品種検討会」、そして、目玉の世田谷花き買参人事業協同組合との「小さな勉強会」である。
7時まで花切りをし、朝食、メールをチェックしたら午前中にできるだけの仕事をして12時に家をでる。
昼食は運転しながらサンドイッチ、鼻歌混じりに中央道を2時間。
2時半には市場についたが、まだ時間があったので、今回会議よりも大事な場所へ
行き先は以前、勤めていた南青山の「ル・ベスベ」の先輩家族のお宅へ。