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 開催地の佐賀県嬉野市に到着した時の最初の感想は「尻がごわごわする」である。

 

 受付を済ませ会場をブラブラ、知り合いとペチャクチャ。そうこうしているうちに大会が始まり、開催式、引き続き講演と私の尾骶骨はよもや尻の肉を貫き直に椅子につくのではないかと心配になった。

 

 尻も散々痛んだが、それ以上に舌を巻いたのは講演の内容であった。

「発光ダイオードを使ったバラの栽培」

「ヒートポンプ(エアコン)を利用した温室の温度・湿度管理」

 

 私が信州の山の中でヘラヘラしているうちに、バラ生産は農業から工業へ転進を遂げるのではないかと想うほど生産技術は躍進している。

 

 感服した。

 

 私の度肝は抜かれたまま会は滞り無く進行され懇親会へ。

 

 真剣にバラの将来の話をする人、バラ技術の情報交換をする人、取引先や市場の方と話す人、ひたすらコンパニオンにセクハラする人。

 

皆様々だが心に残ったのは神奈川の添田さんの〆の第一声だ。

 

 「皆さん、元気になりましたか?」

 

 会場のバラ屋は大小、南北、貧富さまざまだが、誰しも悩みを抱え日々暗中模索している。

 

 こういう機会に仲間同士相談し、ヒントを得、飲み、笑っては明日への英気を養うことが最も大事なことだと私は感じる。

 

 懇親会が終わると気の合うもの同士嬉野の闇とネオンの中へ、まだ大会は終わらない。



2007年11月16日(金)「 田 力 」  

 先日、所用で昼休みに買い物に行った。

 

 店内で色々と物色していると、店員の女性に好奇な目で見られていることに気づく。

 

 不審に思ったが、自らを省みてみると汚い。いや、汚いというか小汚い。

 

 寝癖を縛っただけの髪、バラの棘でほつれてボロボロのジャージ、埃まみれの作業ズボン、穴が開いた元白い黒い靴、20代とは思えない雑巾のような手、店内だというのに腰には剪定鋏。

 

 農家は朝起きて仕事を始めてから、仕事を終えるまで家族以外の誰とも会わない日はよくある。

 

 別に自分が気にならなければ、どんな格好をしていても全く構わない。

 

 逆に言えば、アルマーニのスーツを着ていても問題ないが作業性は悪い。ネクタイでは汗は拭えない。

 

 「ゴトギ」という言葉をご存知だろうか?

 

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