前ページ

春はあまりバラが売れない。

 

それもそうであろう。

 

一歩外に出て辺りを見回せば、遠くの木々も足元の草も花を咲かせている。

 

モノクロームだった冬の記憶を一蹴するように、そこ此処に彩が溢れている。

 

仕事中に友人から電話がかかる。                           

 

何かと思い電話に出ると、

「お前の親父とお袋さんが、大鹿(隣村)の公園で花見デートしてるの見たぞ!」

 

という密告電話だった。

 

何やら気恥ずかしい。

次ページ