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2008年6月3日(火)「 花濡れぬ 森の葉艶めき また霖雨  」 

 とうとう信州にも梅雨の時期が訪れた。

 

 温室の中ではラジオの音も聞こえなくなるほど、雨音に包まれる。

 

 まるで水中にいるようだ。

 

 パラパラという音色と、遠くで哮る蛙の歌声だけが世界をグレー掛かった水色に染める。

 

 バラにとっては辛い季節だ。

 

 この時期はカビ系の病気の発生が多くなる。

 

 路地に咲くバラは、紫陽花との入れ替わりを待つように、雨に濡れ、有終の美を見せ付ける。

 

 しかし、それは遠目から見たからで、とても市場では通用しない。

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